7月場所(名古屋場所)で優勝を決め、新大関に昇進した豊昇龍関が、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で9月場所(秋場所)に臨みます。
初日から両国国技館には豊昇龍関の優勝額が飾られ、更に上の番付が視野に入ったようです。
角界期待の星である豊昇龍関が、2場所連続優勝から一気に横綱を目指します。
豊昇龍関が今最も注目力士である理由と、2場所連続優勝に向けた、9月場所(秋場所)に賭ける思いを解説します。
豊昇龍関が期待される注目力士であるワケを解説
豊昇龍関のプロフィール
豊昇龍関は立浪部屋所属の大相撲力士で、地位は9月場所(秋場所)から大関に昇進し、最高位は西大関2となりました。
生涯戦歴は239勝159敗2休場/395出場(34場所)、幕下優勝は1回、入幕後は優勝1回、技能賞2回、敢闘賞1回を獲得しています。
豊昇龍関の正式な四股名は「豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう ともかつ)」、本名はスガラクチャー・ビャンバスレンです。
1999年5月22日生まれ、モンゴル国ウランバートル市出身です。
身長188cm、体重141kgで、筋肉質でバランスのとれた体格をもつ、スピードと力強さを兼ね備えた力士です。
四股名の「豊昇龍」は師匠である立浪親方の現役時代の四股名「旭豊」の「豊」、朝青龍の「龍」と、横綱まで昇りつめる覚悟を込めて「昇」で決めたそうです。
立浪親方によると
並外れた闘争心の持ち主で、無類の負けず嫌いであるが、プライベートな素顔は、無邪気なほど天真爛漫で陽気。
素直で良い子。
なのだそうです。
豊昇龍関の柔道・レスリングから相撲への転身
豊昇龍関は5歳から柔道、11歳からレスリングを始め、高校からスカウトを受けて日本に留学しました。
日本体育柏高校のレスリング部に入部しましたが、来日して間もない高校1年生の5月に、両国国技館で大相撲の取り組みを見て相撲の魅力に目覚め、相撲の道に進む決心をしたと言っています。
僕は課外授業で行った両国国技館でまさに相撲の虜になりました。
横綱・日馬富士関が大きな力士を倒して大歓声が沸いて、間近で見た遠藤関の技のキレもすごかった。
リアルに見る大相撲ってこんなにおもしろいんだ!カッコイイ!
すごく感動しましたね。
出典:webSportiva
豊昇龍関の華麗なる格闘家の血筋
高校のレスリング部から相撲部へ転部するための交渉に一役買ったのが、第68代元・横綱 朝青龍明徳、現在はモンゴル国レスリング協会会長ドルゴルスレン・ダグワドルジさんでした。
豊昇龍関は朝青龍の甥にあたります。
叔父さんである朝青龍に連絡して
テッペン目指してがんばります!
と誓ったそうです。
8年前。
初めてまわしをつけた日。#豊昇龍 #大相撲 pic.twitter.com/LHi7LMH8gJ— 永井 明慶 (@rien0514) July 23, 2023
豊昇龍関の父ドルゴルスレン・スガラクチャーさんには3人の弟と1人の妹がいます。
次男ドルゴルスレン・スミヤバザルさんは総合格闘家で、レスリングでは五輪にも出場しています。
三男ドルゴンスレン・セルジデブさんはモンゴル相撲の経験をもつ、元新日本プロレス所属のプロレスラーで、ブルー・ウルフのリング名をもっていました。
四男ドルゴンスレン・ダグワドルジさんは元横綱・朝青龍です。
まさに格闘技一家と言える血筋ですが、豊昇龍関の父だけは格闘家ではなく警察官なのだそうです。
豊昇龍関の驚異的なスピード昇進
豊昇龍の初土俵は2018年1月場所(初場所)、2019年(九州場所)で新十両となり、新入幕は2020年9月場所(秋場所)です。
豊昇龍関は、大相撲7月場所(名古屋場所)千秋楽に、12勝3敗で並んだ北勝富士との優勝決定戦を制して初優勝を果たしました。
25+1⚡️ pic.twitter.com/TrPgeocJgj
— Asashoryu第68代横綱朝青龍🇯🇵🇲🇳 (@Asashoryu) July 23, 2023
立浪部屋からの新大関は、1986年1月場所の北尾(のちの横綱・双羽黒)以来37年ぶりの誕生でした。
豊昇龍関は、今年の7月場所(名古屋場所)で新大関に昇進した霧島以来、モンゴル出身の新大関で7人目、外国出身の新大関では13人目となりました。
初土俵から33場所で大関に昇進したのは、歴代10位タイのスピード昇進です。
豊昇龍関の盟友であり親友でもある2人
豊昇龍関は盟友の欧勝馬関(東十両4枚目)と朝白龍さん(西幕下27枚目)とモンゴルから同じ飛行機に乗って来日し、3人揃って日本体育柏高校に入学しました。
欧勝馬関は高校3年間をレスリング部で活躍し、日本体育大学1年生のときに相撲に転向しました。
朝白龍さんは日本留学当初から相撲部に所属していましたが、入門できる部屋が決まったのは拓殖大学卒業後の23歳のときでした。
新弟子検査の年齢制限は23歳未満ですから、朝白龍さんには年齢制限緩和措置が適用されました。
豊昇龍とは高校の寮の部屋が3年間同室で、大親友だと話しています。
同じ飛行機で日本に降り立ち、それぞれの道のりで大相撲の世界に挑み、今、それぞれの番付で戦っています。
3人の今後の活躍が楽しみです。
豊昇龍は2場所連続優勝なるか?
9月10日に初日を迎える大相撲9月場所(秋場所)を前に、9日には東京・両国国技館で土俵祭りが営まれました。
3年半ぶりに一般公開され、約400人が見物に訪れたそうです。
土俵祭りの式典後には新大関豊昇龍関へ優勝額の贈呈式が行われました。
優勝額は9月場所(秋場所)の初日から国技館に飾られます。
豊昇龍関は優勝額に喜びつつ
この優勝は関脇最後の思い出。
もっと頑張らないと。
と、9月場所(秋場所)への意気込みを新たにしました。
豊昇龍関の叔父の朝青龍が大関になったのは21歳で、新大関から2場所目と3場所目に連続優勝を果たし、わずか半年で大相撲の頂点・横綱に昇りつめています。
朝青龍の生涯戦歴は、669勝153敗76休場/838出場(67場所)で、優勝回数は25回です。
大相撲力士として、11年間活躍しました。
豊昇龍関は、日本相撲協会の八角理事長からも
今がチャンス。
この1年以内に横綱に上がるように。
と激励を受けたそうです。
豊昇龍関自身も
大関が終わりではない。
番付にはまだ上があるので一生懸命稽古して、自分を信じて上まで行きたい。
と綱取りへの決意を語っています。
新大関の豊昇龍は初日に平幕の阿炎と対戦します。
過去の対戦成績は豊昇龍が7勝2敗と勝ち越しています。
幕内では横綱 照ノ富士が腰のけがのため、初日から休場します。
途中休場した先場所に続き、18回目の休場となります。
残る大関2人(霧島関と貴景勝関)はいずれも負け越したら大関から陥落する角番で迎える場所で、豊昇龍関が2場所連続優勝するチャンスと、一気に横綱に昇りつめる期待が高まります。
番付日
昨日でした😆
楽しみだ〜 pic.twitter.com/bED64IDVVr— Asashoryu第68代横綱朝青龍🇯🇵🇲🇳 (@Asashoryu) August 29, 2023
豊昇龍の9月場所に賭ける思いとは?
平成以降で新大関が優勝したのは、2014年1月場所(初場所)の栃東と2018年5月場所(夏場所)の白鳳だけだそうです。
豊昇龍関は、7月場所(名古屋場所)中は中日を過ぎると1日1時間から2時間ほどしか眠れなくなり、重圧と戦って優勝決定戦を取り終えた直後には思わず涙がこぼれたそうです。
人前では泣いたことがない豊昇龍自身が驚いたのだそうです。
優勝を叔父の朝青龍に報告すると、朝青龍が泣いて喜んでくれたことも豊昇龍関は告白しています。
そして
優勝25回の大横綱・朝青龍の偉大さをあらためて感じた。
と語っています。
大関昇進の伝達式の口上について、朝青龍からは
やることやったんだから楽しめ!
と激励されたそうです。
日本相撲協会の理事会では、豊昇龍の大関昇進が満場一致の議決により正式に決まりました。
昇進伝達式は立浪部屋の名古屋場所宿舎で行われ、協会から使者として出羽海一門の境川理事と審判部から大鳴戸委員が差し向けられ、両人から昇進が決まったことを伝えられました。
豊昇龍関は
大関の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力いたします
と口上を述べました。
「気魄」は何ものにも屈せず立ち向かっていく強い精神力、「一閃」はぴかりと光ること。
豊昇龍関は、
どんなことがあっても力強く立ち向かうという意味を込めました。
と説明しています。
角界期待の星が新大関として気魄一閃の精神で9月場所(秋場所)に臨みます。
新大関誕生🐣
おめでとう😁
さー豊昇龍よこれから本番‼️… pic.twitter.com/gu9X92E1IR— Asashoryu第68代横綱朝青龍🇯🇵🇲🇳 (@Asashoryu) July 26, 2023
豊昇龍についてまとめ
「勝負はときの運」とも言えますが、「運も実力のうち」とも言います。八角理事長の言葉通り「今がチャンス‼」です。「気魄一閃」の精神でパワーを炸裂させ、運も白星もつかみ取ってほしいと思います。2場所連続優勝と横綱への一歩を目指して!
応援しています!
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