鈴木涼美(すずきすずみ)さんは社会学者で作家です。
2022年に『ギフテッド』(文藝春秋)が第167回芥川賞にノミネートされ、衝撃的な中編小説デビューとなりました。
芥川賞受賞には至りませんでしたが、『夜の街』の住人たちの圧倒的リアリティと、限りなく端正な文章が評価され、新世代の日本文学誕生と話題になりました。
NHKの特別番組『松本人志と世界LOVEジャーナル』に鈴木涼美さんが出演します。
性にまつわる世界のさまざまな話題や悩みを、多様な立場の出演者たちと、楽しくまじめに語り合う番組です。
鈴木涼美さんからはどのような立場の意見が飛び出すのでしょうか?
鈴木涼美さんの異色の経歴や両親について調べてみました。
7/12に文藝春秋より新刊『ギフテッド』が出ます。自分の商品性を拒絶しきれなかった母、値段のつきにくい身体となった娘、受け入れて正当に利用している友、死ぬまで売り続けてたあの子、静かにそこにある歓楽街。
どうかできる限り自由に読んで下さい。
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鈴木涼美さんの慶応大・東大大学院までの経歴とは?
鈴木涼美さんは1983年に東京で生まれました。
鎌倉市にある私立のカトリック清泉小学校に入学します。
小学校5年生から2年間、両親と共に渡英し、ロンドンハムステッドの私立女子校セント・マーガレット・スクールに通いました。
ここは18世紀に創立された、年間の学費が24,000£~30,000£(435万円~540万円)に及ぶ、イギリス国内でも特に歴史ある女子ボーディングスクールです。
イギリスから帰国後は、清泉女学院中学校、明治学院高等学校に通い、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)にある環境情報学部を卒業しました。
その後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程を修了しています。
東京大学大学院を卒業した鈴木涼美さんは、日本経済新聞社に入社、都庁記者クラブ、総務省記者クラブなどで地方行政の取材を担当しました。
日経在職中に東京大学大学院での修士論文を『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)として出版し、高い評価を得ています。
鈴木涼美さんの異色経歴とは?
鈴木涼美さんは、女子高生になると、ブルセラで下着を売るなどして資金を稼ぎ、着飾ってクラブ通いをするようになります。
慶應義塾大学在学中には夜の街に魅せられ、横浜や新宿でキャバクラ嬢として働き始めました。
アダルトビデオのスカウトとの交際をきっかけに、AV女優としてデビューしました。
ひた隠しにしていたこの事実が世間に知られることとなったのは、『週刊文春』2014年10月9日号の『日経新聞記者はAV女優だった!』という、いわゆる『文春砲』でした。
当時、既に日経新聞社を退社し、胃がんを患う母・灰島かりさんの介護をしていた時期だったと言います。
鈴木涼美さんは夜職の経歴に『やましさ』を感じていたのだそうです。
もう最大の恥です。
だから本当は誰にも言いたくない。
気持ちの半分は常にそういう気持ちです。
ただ同時に、そのような世界やそこにいる女の子たちの愚かさも含めた魅力に、今も惹かれ続けているのも事実です。
刺青は
夜の街に戻らない!
まともな社会に入ろう!
という、ひとつのケジメで入れたのだそうです。
AV業界や高級ソープでは、刺青は嫌われ、つるっとしてピカピカな肌が好まれるため、刺青は夜の世界との境界線にあるもので、女性としての商品価値を下げる行為とされていると言います。
夜の街での遊びを続ける鈴木涼美さんに、母・灰島かりさんは見透かしたようにこう言い続けてきたそうです。
あなたは結局、日の当たる場所を絶対に捨てきれない。
出典:「身体を売ったらサヨウナラ夜のオネエサンの愛と幸福論」
鈴木涼美さんの両親について
鈴木涼美さんの両親はそろって大学の先生で、翻訳の達人です。
翻訳は純粋に文体と文章の技術のため、鈴木涼美さんは両親の影響を受けて、生まれつき文体のこだわりをもっていると言います。
鈴木涼美さんの父・鈴木晶(すずき しょう)さんは、1952年生まれの舞踏評論家で翻訳家、法政大学名誉教授です。
中学生になって自分の世界が広がっていくことに夢中になっていた鈴木涼美さんは、楽しいこと、刺激的なこと、刹那的なこと、背徳感があることに惹かれるようになっていきました。
ファンタジーの世界よりももっと生々しくて、直接的な刺激があったからだそうです。
そんな様子を見ていた父は、
ママと読んでいた本がつまらないと思うようになったのなら、こういうのが面白いんじゃない?
と何冊かの本を書庫から出してきてくれたそうです。
鈴木涼美さんが覚えているのは、
- 村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
- ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
- クラーク『幼年期の終わり』
- 村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』
- 井上ひさし『ブンとフン』
- ドストエフスキー
- 遠藤周作
だそうです。
鈴木涼美さんの母・灰島かりさん(本名:鈴木貴志子)は、1950年生まれの児童文学研究者で翻訳家、白百合女子大学の講師を務めました。
2016年に母・灰島かりさんが胃がんのため亡くなってから、鈴木涼美さんは母の影響が強かったと思うようになったそうです。
全力で私を否定してくる母親と、面と向かって議論したり再反論したりしているうちは気づかなかったけれど、亡くなってみると、母親を言い負かすために、私の中にある引き出しを精一杯開けるみたいなことって、他ではあまりない。
議論の相手を失ったことは、物書きとしては痛手でしたね。
だから今も、仮想の母親を仕立てて、母親ならこういう視点をもってくるだろうから、そこにも対処しなくちゃみたいな。
私が正しいと思うことが他の人にとっては全く正しくないとか、私に見えている世界が絶対じゃないと言うことをものすごく近くで教えてくれる存在だったので、母の影響は大きいですね。
出典:YouTube『 BS12「BOOKSTAND.TV」』
母・灰島かりさんは、
- 寝る前の時間だけは何でもいいから本のページをめくること
- 月に一冊くらいは英語の本も読むこと
- 誰かと一度友達になったら、喧嘩しても、意見の相違があっても、あそび場が分かれても、友達をやめないこと
「それだけ守ってくれればいい」
と言って、仕事や趣味に没頭していたそうです。
出典:『娼婦の本棚』(中公新書ラクレ)より
『娼婦の本棚』トーク&サインイベントは6/26でひとまず完結です。皆様名古屋でお待ちしてます♪7/12発売予定の『ギフテッド』の話も少しできたらなと思います。
お申込み→ https://t.co/YfRgd8yjc9 pic.twitter.com/psQ5lvSTf2
— 鈴木涼美 (@Suzumixxx) June 18, 2022
鈴木涼美さんについてまとめ
鈴木涼美さんは若い人々へ、本屋に足を運ぶことと本を読むことをススメています。
私は(作家)井上ひさしさんのようになりたいと常々思っています。
井上ひさしさんは、世界を、日常をものすごく楽しんでいる人です。
同じものを見ても教養次第で全く別のものが見えると言うことを本から学んだし、今、絶望的に見えている状況を面白がるヒントって本の中にしかないと思う。
世界は単純ではなく、儘ならないものであったとしても、おかしがったり面白がったりしていれば、少なくとも死ぬほどの場所ではないと思えるんじゃないかと思いますね。
10代の途中に紆余曲折あった鈴木涼美さんが、幼少期からの豊かな読書経験によって得たものは、母・灰島かりさんが指摘した通り『日の当たる場所』にある幸福なのではないでしょうか?
これからの鈴木涼美さんの活躍に期待しながら、応援していきましょう!
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